ごめん

うまくナビできなかった。

まさかあそこで走って乗車しちまうとは…

あばら大丈夫かなあ…

考えるとこっち、自分のペースで母の生活時間を乱している。仕事が終わってからじゃないとかけつけられないから、時間の約束ですらこちら寄りにやらせてもらうことになる。

自分のペースで階段を駆け降りたら電車がちょうどホームに滑り込んできていて、悠々乗れたので先に入ったら、階段を降りる途中で自分を見失った母ははたと右が左か、到着している電車に迷ったのだそう。ようやく自分を見つけ、入り口に走ったらガーンと挟まれた。今は息を吸うと胸のあたりが痛いらしい。

 

切符を買うことがもう苦手。どこ?どこ?いくら?とブツブツ言いながら、上の路線図を見ながら列を作る券売機の前で10分粘る。ようやく値段がわかり買おうとしても、どこのボタンを押したらいいのかわからない。ボタンを見つけてもどこにお金を入れたらいいのか、またわからない。

ようやく切符を買えていざ入場となっても、I Cカードが横行しているので、切符を入れる入場口がどれか判断して並ぶことが難しい。長蛇の列に並び臨んだら切符食べてくれないタイプの改札機だった、ということを数回。パニックになり超混雑している改札で後ろを見ずに横にずれたり戻ってみたりまさに右往左往し、人の流れをガッツリ食い止めてしまっていた。

駐輪した自転車を出すときも同じ、エスカレータに乗る時も同じ。後ろに人がいて危ないかもということは頭にないし、誰かが横を歩いてくるかもしれないという発想は一切ない。頓着せず自分のペース、世界だけしか見えないのでそれで過ごしている。忙しない人の流れに乗れず、システムが理解できずパニックになり、人の流れを止めていい迷惑であり邪魔な高齢者だ。能力的に余裕がないのもあるし、キャラ的なこともある。不思議と一定の音に敏感で、時々はっと顔をあげて音のしているほうを見ることもある。何もないんだけどね。うっかり手元の商品に集中しては自分とはぐれ、人混みの中で自分を探し心細げにキョロキョロしては、また商品を眺める。そしてはぐれたのを感じ取りはっとする。そこには不安気な気配しか感じられず、彼女は楽しいようには見えない。見えないと言うなら、視力の弱まりや視野の狭さ、聴力の弱まりがかなり顕著なことが原因とも思う。

 

お母さんはそうしたいつもりはないのにね。

都会は、住んで慣れているはずの住人でも過ごすには忙しなく、うるさく、階段が多くなってしまった。特に高齢者には利便性は高いが住みにくく、つまり優しくない。

…私もだなぁ。